初めてのラベル体験 その2

ラベルとの出合いは、ご多分に漏れずボレロから始まりました。これは、ラジオからではなく、レコードで聴きまた。中学1年生の時です。家にシャルル・ミンシュ指揮パリ管弦楽団のラベルのレコードがあったのです。そのレコードは、なぜか通常の黒いレコードではなく、赤い透明のレコードでした。そんなこともあり、一体どんな音楽が入っているのだろう?と思って、まったく予備知識なく聴いたのが始めでした。やぁー、これまた驚いたの何のって。

 

同一のリズムに乗せて、ふたつの旋律が繰り返され、15分ほどして突然終わるというこの曲。

次第に楽器の数が増えていって、音量が大きくなる以外は、特に展開というものがない。円環的というか、ループしてる訳ですね。展開がない、というのがひどくおもしろい。

 

シャルル・ミンシュ指揮パリ管弦楽団の音源が見つからないので、とれあえず定番のこれを。

 

youtu.be

 

そして、何よりもボレロの旋律は、不思議な魅力があると思います。素朴な佇まいがありながら、一方で奇妙なねじれがある(気がする)。一見普通の魅力的なメロディーのように感じるのだが、ここには少し普通ではないものがある。素朴かつ、奇妙なメロディーがゆっくりゆっくりぐるぐるぐるぐる回っていくと、だんだん呪術的な雰囲気が醸し出されてくる。たゆたっている内に、いつの間にか酩酊状態に入っていくというか。なんか、深い深い森の奥地に住む未開の部族の人たちが宗教儀式をやっていて、その時に鳴っている音楽というイメージかな。

 

こういう音楽が大都市のコンサートホールで、正装した人たちによって演奏されているというのは、実は大変奇妙なことなのかもしれない。まあ、当たり前だけど、僕らはみんな普通でないものを求めているのだろう。普通のものを聴きに、わざわざ音楽を聴きに出かけたりするだろうか?