ラベルのスペイン狂詩曲 その3

スペイン狂詩曲は、わりと短めの4曲で構成されていますが、例えば1曲目の「夜への前奏曲」が始まると、なんとも不思議な、都会では経験出来ないような暗闇の静寂のフィーリング、なんとも言えないフィーリングに包まれました。

こんな音楽は、今まで聴いたことがなかった。確かにこの音楽には夜があった。「夜の音楽」であったのです。夜を描写した音楽なのかもしれない。しかし僕からしてみれば、音楽そのものが「夜の音楽」であったのです。これは当時の僕にとっては不思議な体験でした。

しかも、この音楽は、夜のみではなく、夜の中に何かが居ることを感じさせるものであったのです。それが良いものなのか悪いものなのかはよくわからない。わからないけれとも、そこには確かに何かが居て、その何かが時に微かに、時に大きく動いているのが感じられる。

こんな不思議な面白さを1曲目「夜への前奏曲」、2曲目「マラゲーニャ」、3曲目「ハバネラ」に感じました。4曲目の「祭り」に関しては、曲が明快で、不思議な面白さは消えてしまったように感じたものです。明快さ、というのも、ラベルの音楽のよき側面であるとは思うのですが。

ところで、シャルル・ミンシュ指揮パリ管弦楽団の音源が見つからない。。。なので、とりあえず代わりにこの演奏を。定番ですが、僕はこの演奏は好きです。

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つづく