ラベルのスペイン狂詩曲 その2

さて、このレコードには、ボレロの他に、ダフニスとクロへ第2組曲と、スペイン狂詩曲という曲が入っていました。ボレロを初めて聴いた時は、どこかで聴いたことのあるメロディーが流れてきた途端、大きな歓びと興奮状態に包まれましたが、他の2曲はまったく馴染みのない未知の曲たちでした。

やはり始めの内はよくわからなかったと思います。でも、ボレロを聴く度に他の2曲も聴いていたので、だんだんと体の中に入っていったようです。やはり、ある種の音楽は、始めはわからないものであっても、リスニングを繰り返している内に自然と体の中に入っていくものなのですね。その内に、他の2曲もボレロに負けず劣らず好きになっていきました。

ダフニスとクロへ第2組曲も、まぁ素晴らしい曲ですね。だけど、僕により深い印象を残したのはスペイン狂詩曲の方でした。ダフニスとクロへ第2組曲は、当時の僕には、美しく明確な曲のように響きました。一方で、スペイン狂詩曲の方は、もっと訳のわからない、明確なフォルムを持たない、謎めいた曲のように聴こえたのです。レコードの曲の解説には、この曲は、ラベルにとって初めての純粋な管弦楽曲であると紹介されていたように思います。そうであれば、これは若書きの曲ということになる。そのことも、ずいぶん印象に残っていました。

つづく